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「友達と恋人の違いは?」
言葉に詰まった。冷たい風がざあっと吹いて、全部を飛ばしてしまいそう。
「全てを知りたいか、知りたくないかじゃないかな」
色々と考えた結果。僕の全力の結論だ。
優雅に水浴びをするゾウを見て、彼女は食べ終わったソフトクリームの紙を片手でくしゃくしゃに丸めた。
「じゃあ、全てを知りたいと思っているからあなたは私にとって、恋人ね」
思わず彼女の顔を見てしまう。彼女はなんでもない顔をしたままくしゃくしゃの紙を弄びながらゾウを眺めていた。なんの変化もない、彼女の顔。何を考えている?
しれっと僕は、何を聞かされたんだ? 聞き間違いか?
聞き返すのは野暮だろう。付き合ってください、いいですよと明言してから恋人になる関係なんて、圧倒的に珍しいのだから。
「寒いから、屋根のあるところに行こう」僕ができるのは場所移動の提案だけだった。手を握ろうとして、やめた。
彼女との関係はこれからもきっと同じように続いていく。
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