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彼女に奇跡的に気に入られた僕は一体何者なのか。
何者でもない。ただの在宅ワーカーだ。就職もなんとなくインターンシップで行った企業の上役と仲良くなって面接をパスした。
後日聞いた話ではこのシステムで入社した同僚は何人もいた。「君しかできない」は会社の常套句らしかった。
平たく言えばウェブデザイナー、のようなもの。低い単価でホームページの制作をしたり、プログラムを作ったりしている。収入が低くても生きていけるのは親からの仕送りのおかげ。新卒だからと過保護な親はいまだに大学時代と変わらない額の支援をしてくれている。
仕事にこだわりも、プライドもない僕はその状況に甘んじていた。生きているんだから、あとはどうでも良かった。
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