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ああ、身の上話なんてどうでもよくて。今は彼女の気まぐれな話につきやってやる時間だ。
昼間の動物を見ながら恋人についての話をするなんてタイミングがおかしいとは思うけれど。それに恋人の必要性なんて結婚適齢期が近づいてきた者同士で話す内容ではないとも思うけれど。
「話したくなったから、話す。だからあなたは私の話を聞いて欲しいんだけれど」
少しだけ一般とずれている彼女の言動を受け止めて頷く。彼女のこの性格は今に始まった事ではない。
「愛とか恋とか、そういう話をしたくはないの。恋人の必要性、それが話したい」
「恋愛の哲学みたいな話はずっと前にした覚えがあるぞ」
「学生の戯言だったね」
巷でよく聞く恋とか愛とかの違い。
自分本位が恋で他人本位が愛だとか、不安が恋で心配が愛だとか色々と違いを話してきたが、その話をしたい訳ではなさそうだった。太陽の熱で溶けかけたアイスクリームを舌で掬いながら彼女が物憂げな表情だ。
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