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ダチョウの隣はキリン。キリンの隣はゾウの群れだ。二メートルを超えるゾウは近くで見ても、案外大きさの感動はない。ただ、自分よりも大きな生き物が命を持って生きているという実感がぞわぞわと背中を駆け巡った。
「必要かどうかで言ったら、必要だろうね」
いないよりいたほうがいい。それくらいの気軽さで僕は柵に寄りかかった。鉄の柵は存外冷たい。
「でもあなたには恋人がいないわ。必要でないからでは?」
「僕はたまたまいない状態が続いているだけで」
「必要なら作る努力をすればいいのに」
冷たく言い放たれた言葉の真意がわからない。僕に恋人を作って欲しいのか? それとも恋人がいない状態で恋人が必要だと主張することに矛盾を感じているのか?
おそらく後者だろう。
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