この世界は

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この世界は

1沖田勇人の疑問  僕の名前は、沖田勇人。中学2年生だ。  ある木曜日の時、僕の頭は回り始めた。  この世界は何なんだろう?  コノセカイハ、、、  今は5時間目の国語、先生の話を聞きながら、僕は頭の片隅で考える。たしかに、この世界が本物だという証拠はない。だから、この世界は偽物かもしれない。これでいいじゃないか。  ふと、後ろを見る。6時間目は道徳だ。ここで僕の頭が働く。  平行世界の人たちは、みんな自分の世界を本物とし、他の世界を偽物と決めつける。これって相対的とかいうやつじゃないか。  いつもは、漢字25点。テスト60点のときの2,5倍の速度で考える。  ということは、僕のいる世界は偽物?いや、前お父さんが「頬をつねっていたかったら夢じゃない」と教えてくれた。平行世界も、夢と同じものだとすると、頬をつねれば移動できるのかもしれない。  頬をつねってみる。  痛い。  やってから気づいた。頬をつねるという行為をしても、夢から覚めるかもしれないが、平行世界を移動できるわけではないんじゃないか。  「沖田ー集中してるかー?」と、担任の近藤先生が振り向いて言う。僕は慌ててノートに目を落とす。ほとんど空白のノートを見て、僕は絶望する。ただでさえまともに聞いておらず、得点源はノートという人なのに、そのノートを書かないなんて、国語の成績3が下がって2になってしまう。  すると、塾の数が1から3へパワーアップする。お母さんは塾へ行けば成績が自ずと上がると思っている。しかし、僕は天から与えられた各分野の能力が、この結果に反映されると思う。  2放課後の図書館にて  「うーーーん」  僕が唸り声を上げているのを見て、周りの小学生がそそくさとにげる。(そそくさ、は死語だっけ?)僕はまたため息を吐き出す。  その時、僕の前にガコンと栄養ドリンクが置かれる。顔をあげると、そこには僕の片菱ユウキが立っていた。  僕は、片菱の事を、あまり知らない。というか、あまりどころじゃなく、かなり知らない。男女か、どこに住んでいるのか、全くの謎だ。そんな僕に向かって、片菱が口を開く。 「疲れてるんだろ、飲め。」  この女とも男とも取れる声、ますます謎は深まる。  更にうなり始めた僕に向かって、片菱がいささか心配そうな目を向ける。 「大丈夫か?」と片菱が聞いてくる。かろうじて「大丈夫。」と返すと、片菱は微笑んで「ならいいんだ。」と言う。僕は、片菱のすきを狙って目の前の栄養ドリンクのキャップを開け放とうと企む。  一方、片菱は僕の企みを遮るように栄養ドリンクをグビグビ飲む。そして「っぷは〜」とおっさんのような声を出して帰っていった。  ふと見ると、僕の前にメッセージ入り栄養ドリンクがおいてあった。メッセージには、「お前の国語の評価先生が2か3で迷ってたぞ」と書いてあった。  僕はそっと涙を拭う。  さあ、気を取り直して、この世界について考えようじゃないか。まず、この世界のことを知るには平行世界について知らなきゃいけないと思う。僕は図書館のパソコンの前に行き、「平行世界」と打つ。短い間でも、僕の指がキーボードの上で踊る。  検索結果は何件かあったが、いいのはなかった。ということは、自分の頭で考えろということじゃないいかと思う。僕は机に向かう。 3宿題=この世界について考えること  僕はいま文机に向かっている。目の前にはまっさらな宿題ノートと自由帳。  僕は宿題をこつこつ進めるのが苦手な人間だ。だからこうして一ヶ月分の宿題を毎月30日にやっている。  そして自由帳はというと、この世界について考えたいじゃん!だから準備したのさ!  そして僕の頭の中で、宿題と考えることを天秤にかける。針はしばらく揺れていたが、やがてどんどんと考えることが下がっていく、、、。  もう僕の頭は止まらなくなっていた。平行世界のこと、この世界の真実。  気がつくと5時を回っていた。お母さんとお父さんは仕事で6時半に帰ってくるらしい。僕はさっき考えたことをノート(自由帳)に記す。字が雑になったけど、まあいいだろう。  こんなかんじで、刻々と時間は過ぎ、気がつけば6時20分嫌な予感がする。   カチャリ。  嫌な予感は的中した。 「ただいま〜」ときの抜けた声が聞こえてくる。僕は慌てて引き出しにノートを隠す。なんとかバレずに済んだようだ。僕は、お母さんの持っているビニール袋に目を向ける。 「勇人のために、辞書を買ってきたのよ」と、誇らしげにいう。僕はすぐさまお母さんの手から辞書を奪い取ると、文机の上でページを走らせた。調べるものはもちろん、平行世界。 4わからなくなる。  僕は金曜日も考え続けていた、その結果、ある可能性を導き出した。それは、平行世界は実現し、同時に全ての世界は本当のものである、と。  僕はその考えを手帳にまとめて、学校においておいた。また来週考えよう。そう思った。しかし、そうはいかなくなる。  月曜日、僕が学校についたときには、手帳が跡形もなくなっていた。僕の考えたことの軌跡がなくなってしまった。そして、この日の放課後から、追いかけられている。  原因はわからない、でも逃げなきゃだめだと本能が叫んでいる。なんで追いかけられているのか、僕は頭の隅で考える。幸い、男たちの足は早くなく、いや、遅いといったほうがいいかもしれない。どんどんさが開くが、気がつくと先回りされている、これが続いている。  気がつくと僕は大きな建物の前に立っていた。黒い男たちはもういない。その時、僕の好奇心が掻き立てられる。  コノタテモノハナンナンダロウ。  僕は建物に向かって歩みだしていた。  僕は、重い扉を開ける。重い足と荒ぶる息を整えながら歩く。こうなるのは、何年ぶりか。あの小学4年制の体躯の時、みんなは走っているのに、僕一人だけ歩いていた。あの胸がキュンと閉まる感覚、あの感覚が今でも、胸に鮮明に色褪せることなく残っている。 5沖田「ここどこ?」作者「知るかぁ!」  僕はまた階段と部屋をあさっていたそして入っていた部屋の一つに謎の液体と部屋があった。その他は生き物なのにその部屋だけ機械がある。  僕は疑問に思った。なぜ個々にあるのか、考えていたその時、僕の後ろから低い声がした。 「何をやっているのかい。」  僕は震えて声が出なかった。その時、僕の脳裏で考えていたことの答えが出る。  ここは、クローン研究所じゃないか、そして、ここの人たちは、全ての並行世界にクローンを送り出す。だからドッペルゲンガーも現れるんだ。  そうだ、きっとそうに違いない。僕は、自分の口から笑みが溢れるのに気づいた。しかし、この笑みにはには、嬉しさとこのピンチを楽しんでしまう自分がいるからだろう。死んでもいい。その気持ちを僕は持っていたらしい。僕は黒い男に体当りして廊下を駆け出した。「待て!」と黒い男が叫ぶが、待つバカがいるかという気持ちで走る。僕は長い長い通路から出た。  頑張ったと自分に言い聞かせてまた走り出す。僕はあれ?と思った、もしかしたらこれが平行世界かもしれないってことか?  てことは、、、  その日、僕の悲鳴が夜の街に響いた。 Fin
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