02.キッドVS狩猟者

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「先にカエルを仕留めるか。デザートは後にとっておくものだ」 「せめてメインディッシュと言ってくれよ。リーダーだぜ、俺は」 爺の無反動旋条銃は型式から弾倉に五発のタイプ、薬室に一発あるとしても上限六発だ。 だがエアマスターのヤマカシでも、六発を躱すことは難しいだろう。 「君らの魂胆は分かっている。カエルを囮に全弾消費させる。  と見せかけて、キッドの能力で儂の銃をすり替えるつもりだろう?」 読まれている。 この爺、未来視の能力でもあるのか? 核の冬を生きる者には特別な能力が備わることがある。 神様はそれをGIFTとして一物を与えたつもりでいやがる。 盗賊団リーダーにお似合いの俺の能力は『盗人の手袋』。 相手に気づかれずに物をすり替えたり、盗んだりする能力だ。 名前が売れた分、能力もばれてやがる。 勿論、ヤマカシのエアマスターもイダテン-Rのリスクセンサーも能力だ。 「並の狩猟者ならば銃をすれたかも知れんが、儂の銃は体の一部だ」 「そうみたいだな。出遭った時から狙ってたけど諦めたぜ」 「大昔、泥棒の腕は斬り落とされたそうだ」 爺は狙いをヤマカシから俺に切り替え、発砲した。 火薬の匂いが立ちこめる中、俺の自慢の右手が雪原に無残に落ちた。
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