42人が本棚に入れています
本棚に追加
「先にカエルを仕留めるか。デザートは後にとっておくものだ」
「せめてメインディッシュと言ってくれよ。リーダーだぜ、俺は」
爺の無反動旋条銃は型式から弾倉に五発のタイプ、薬室に一発あるとしても上限六発だ。
だがエアマスターのヤマカシでも、六発を躱すことは難しいだろう。
「君らの魂胆は分かっている。カエルを囮に全弾消費させる。
と見せかけて、キッドの能力で儂の銃をすり替えるつもりだろう?」
読まれている。
この爺、未来視の能力でもあるのか?
核の冬を生きる者には特別な能力が備わることがある。
神様はそれをGIFTとして一物を与えたつもりでいやがる。
盗賊団リーダーにお似合いの俺の能力は『盗人の手袋』。
相手に気づかれずに物をすり替えたり、盗んだりする能力だ。
名前が売れた分、能力もばれてやがる。
勿論、ヤマカシのエアマスターもイダテン-Rのリスクセンサーも能力だ。
「並の狩猟者ならば銃をすれたかも知れんが、儂の銃は体の一部だ」
「そうみたいだな。出遭った時から狙ってたけど諦めたぜ」
「大昔、泥棒の腕は斬り落とされたそうだ」
爺は狙いをヤマカシから俺に切り替え、発砲した。
火薬の匂いが立ちこめる中、俺の自慢の右手が雪原に無残に落ちた。
最初のコメントを投稿しよう!