03.新たなシェルターを求めて

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「テンのリスクセンサーのお陰で襲撃前に逃げたんだけど」 「テスラのせいで捕まりかけたんだろ?」 「そう。本当にのんびりした熊さんなんだから」 テスラは二メートルを超える巨躯で、非常におっとりしている。 年齢不詳だが、マウスの最年長、というか唯一のおっさんだ。 キャンプから脱走した俺とヤマカシとイダテン-Rを拾ってくれた恩人だ。 初めて信頼できた大人だ。いや、最初で最後か。 見た目と違って、手先が器用で知識も豊富だ。 「テスラが走らないから、すぐに追いつかれて」 「ヤマカシならまだしも、僕はテスラを背負って走れない」 「相手は三十名の山狩部隊だったわ」 「シ、シルビアが全員やっつけたんだなぁ」 「だろうな」 シルビアは異国のスパイで元高級娼婦だ。 能力はハニートラップ。 多人数相手にも展開でき、今頃敵は煩悩妄想世界に囚われているだろう。 本当に怖い女だ。 「山狩部隊と狩猟者か。逆だったらやばかったな」 戦いには相性がある。今日は組み合わせの運が味方した。
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