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「テンのリスクセンサーのお陰で襲撃前に逃げたんだけど」
「テスラのせいで捕まりかけたんだろ?」
「そう。本当にのんびりした熊さんなんだから」
テスラは二メートルを超える巨躯で、非常におっとりしている。
年齢不詳だが、マウスの最年長、というか唯一のおっさんだ。
キャンプから脱走した俺とヤマカシとイダテン-Rを拾ってくれた恩人だ。
初めて信頼できた大人だ。いや、最初で最後か。
見た目と違って、手先が器用で知識も豊富だ。
「テスラが走らないから、すぐに追いつかれて」
「ヤマカシならまだしも、僕はテスラを背負って走れない」
「相手は三十名の山狩部隊だったわ」
「シ、シルビアが全員やっつけたんだなぁ」
「だろうな」
シルビアは異国のスパイで元高級娼婦だ。
能力はハニートラップ。
多人数相手にも展開でき、今頃敵は煩悩妄想世界に囚われているだろう。
本当に怖い女だ。
「山狩部隊と狩猟者か。逆だったらやばかったな」
戦いには相性がある。今日は組み合わせの運が味方した。
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