04.キング・ロボの城

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04.キング・ロボの城

「嘘……しょぼっ!」 それはちっぽけなシェルターだった。 「そのコンパス、いかれてんじゃないの? 途中あった塔型シェルターに戻らない?」 「そ、そんなはずはないんだなぁ」 眉間に皺を寄せたシルビア。困り顔のテスラ。 全員の視線の先は、この俺だ。 「俺はテスラを信じる。早速探索だ」 「でも、これはどう見ても……」 お一人様テントだな、どう見ても。 俺は四角錐の小さな構造物に足を踏み入れた。 そこは不思議な空間だった。 外から見ると俺一人で満員になりそうだが、入ると余裕があった。 「来いよ、ヤマカシ」 「マジかよ……あれ? こいつは意外と」 「シルビア」 「嫌よ」 「いいから入れって」 「どさくさに紛れて変なことしたら、一生後悔するわよ……あら?」 「や、やっぱり凄いんだなぁ」 「キッド、どうなってんだ、コレ!」 なかなか入ってこない二人の様子を見に顔を出す。 何故か、入った時よりも目線が高い。 「お前らが入るたびに、このシェルター形が変わっていくんだよ」 変化は外観だけではなかった。 室内には階段が現れ、大きな窓がつき、暖炉と煙突まで生えてきた。 小さな四角錐のシェルターは塔に変化し、テスラが入る頃には城砦に成長した。 19ea9bf3-c2db-4efa-bbae-f66eded4a03c
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