02.キッドVS狩猟者

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02.キッドVS狩猟者

「まずいぞ、キッド。走狗(そうく)だ」 「何がまずいって? (いぬ)なんて問題にならねえだろうが」 「(ジジ)付きの狗なんだよ」 「それを早く言えよ、ヤマカシ」 走狗とは賞金首を狙う追跡者(チェイサー)で、俊敏獰猛な六本足。 狗単独ならば問題はない。 厄介なのは爺という狙撃者(スナイパー)で、ホバーボードに乗り無反動旋条銃を装備している。 爺付きの狗イコール狩猟者(ハンター)って訳だ。 走狗のレベルにもよるが、盗賊団(マウス)の中でも逃げ切れるのはヤマカシとイダテン-Rくらいだ。 自慢じゃないが、俺だけなら逃げ切れない。 神様はいじわるだから、人に二物を与えないんだ。 ほとんどの人間は一物すら貰ってねえけど。 しかも今回の狗は危険種・二本首(オルトロス)だ。 ヤマカシはあらゆる地形を味方に付け跳ね回るエアマスターだ。 高い身体能力に加え、盗賊団の発明家が開発したフロッグスーツを使いこなしている。 このスーツのお陰で、自分の体重の三倍の荷物を抱えても軽々追跡を振り切れるのだ。 今は俺とシェルターからの戦利品を抱えている。 スーツの素材はシェルターから発掘したものだ。 ここにはいないが、イダテン-Rは耳がよく危機回避能力(リスクセンサー)を持っている。 しかもリーダーの俺よりも足が速い。 まぁ、逃げ足だけだ。 手の早さも含め、他は何一つ負けちゃいねえ。 今日の行動は俺とヤマカシだけだ。狩猟者相手でも余裕で逃げ切れるだろう。
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