02.キッドVS狩猟者

2/5
前へ
/24ページ
次へ
「マウス・ザ・キッドともあろう者が逃げるだけか?」 「なんだと?」 「安い挑発に乗るなよ」 「爺様、所詮は大嘘(ビッ)()()()()なんですよ」 「そのようだな、リトル・ドッグ。キッドが鈍足だって噂は本当だな」 「早く俺らに喰われちまいなよ」 「もう我慢ならねえ!」 俺はヤマカシの背から下り雪原に着地すると、迎え撃つように狩猟者と向き合った。 ヤマカシの溜息が聞こえる。 「もっと近づけよ。そんな距離じゃ避けちまうぜ」 「言うじゃないか。新雪に膝まで埋まっている癖に」 ヤマカシは一飛び数十メートルを移動し、着地の衝撃痕すら残さない。 狗は六足歩行で体重を分散し、爺に至ってはホバーボードで着地すらしない。 凡人の俺の両足は雪に突き刺さっている。 「カエルに負ぶさって逃げても、俺らの二つの鼻からは逃げられないよ」 「知ってるさ。ヤマカシだけならまだしも俺は逃げられない」 「逃げられないか。観念したようだな」 「いや違うな。逃げる必要がない」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加