02.キッドVS狩猟者

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涎を垂らし、直線的に襲いかかってくる双頭の狗。 間合いを詰めて一気に加速する瞬間、俺は拳を構えた。 狗はまだ拳の制空権の向こう側。 だが俺は距離などお構いなしに右ストレートを放つ。 「ギャン!」 狗が空中でバランスを崩す。 俺が見舞ったのは、仕込針だ。しかもカエシ付で引いても簡単には抜けない。 双頭の鼻っ面と(まぶた)に満遍なく針が刺さり、涎まみれの顔には鼻水と涙が追加された。 「距離感はドンピシャだな」 針さえ喰らわなければ、確実に俺の喉笛を掻き切ったであろう狗の顔。 間合いに入った狗の横っ面に左フックを打ち抜く。 衝撃波が顎の付け根を捻れながら粉砕していく。 「自慢の鼻が二つあっても、二倍にはならんのよ。精度は同じだ。(おつむ)もな」 俺はノックダウンした狗を見下ろし、爺を目に捉えながら自分の頭をトントンと二度叩いた。
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