レイチェルは名探偵になりたい。

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 ***  双子の姉妹といっても、私と妹はそんなに似ていない。二卵性の双子だから当然と言えば当然だ。そりゃある程度顔立ちが近いものはあるが、髪型を同じにしていたところでそうそう間違えられるということはなかった。  活発で、サッカークラブのマネージャーをしている妹の流美。  ひっそりと一人で絵を描くのが好きな私、姉の麗美。  どちらかというと、中身的には正反対のところが多い。ただし、好きなアニメは共通しているものが多いし、違うところが多い姉妹だからこそ補いあえる面もある。  むしろ、そっくりでなかったからこそ、私達の仲は良好なのだと言えるかもしれない。 「名探偵の特訓ってなになに?」  今日は夕方まで両親が帰ってこないので、二人で家で録り溜めしていたアニメを見ていたのだった。ちなみにどちらも同じ小学校に通っているが、クラスは異なっている。 「名探偵の特訓って言ったらあれだよ、推理の練習!」  ぴん、と指を一本立てて流美が言った。 「ほら、穂村クンも言ってんじゃん。常に物事を観察し、分析し、頭を働かせるようにしてるんだって。そりゃ、あたし達小学生だから、穂村クンほど頭良くないけどさ。それでも、今のうちから頭を働かせておくことによって、名探偵に近づくこともできるようになるんじゃないかなあって」 「まあ、一理あるけど。具体的には何するの?」 「ずばり、あることをお姉ちゃんに当てて貰おうと思って!もちろん、推理で!」 「ふーん?」  なんだか、クイズゲームみたいで面白そうだ。私は乗り気になって、問題は?と尋ねる。  すると、自分から言いだしてきたはずなのに、妹はちょっと頬を染めてもじもじとし始めた。これは、もしや。 「あ、あたしの好きな人は誰でしょう!お姉ちゃん、推理でそれを当ててみて!!期限は一週間!!」 「……ほお?」  最近、流美に好きな人ができたらしい。それは私も察していたことだった。ガサツで男勝りな流美が最近やたらと髪の毛のブローに時間をかけるようになったし、鏡を見るようになった。ポニーテールにするようになったのも心境の変化によるものだろう。  しかしまさか、それをクイズのお題にするとはいい度胸である。 「いいじゃん、やったろーでないの」
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