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帰る足は、電車に移る。
時間は夕方に差し掛かる。
電車は快速。人は少なくゆったり快適。
空いた席に阿衣と座り、ホッと一息落ち着いた。
窓から見える看板広告をぼーっと眺める。
電車が動いた。
目で追っていた看板広告の文字が読めなくなっていく。
(ん……)
疲れからか、読書をした後のような心地よい眠気がやって来る。
「夢吽。お互い強くならなきゃね。強くなったらその時は……」
阿衣の意気込む声が聞こえた。
が、夢吽は、耳にするのがやっとだった。
心は既に、夢の入り口。やっとの思いで阿衣に応える。
「うん、わたしがあいちゃんを、あいちゃんがわたしを〝やっつける〟だよね」
振動を心地よく感じ、夢吽はそのまま眠りについた――
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