ある正月の、なごみ‥‥消えた

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 いつも行ってる神社へは、明日にでも行けばいいのだから……と涼造は思いながら、 「ミカは何処だい?」  と娘に訊くと、彼女は昼食を運びながら、 「子供部屋に独りでいるわよ」  私はミカを呼びに子供部屋にいった。  するとミカは楽しそうにお絵描きしていた。  しかし、その側には、いるはずのない妻とユイの笑顔もあった。  その光景を見ながら私は笑った。  冬の静けさの中で、私にしか見えない、なごやかな光景だった。  が、やがて窓から陽光が差し込むと、妻とユイの半透明な姿は、溶けるように消えた。 ――おわり――
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