ある正月の、なごみ‥‥消えた

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 前年の十二月二十四日、自宅から飛び出したユイは、車にはねられて亡くなったのだ。   クリスマスのプレゼントを持って、私の見舞いに行くということで、はしゃいでいたからだった。  私がその事を知ったのは、大晦日の前日で、娘夫婦が見舞いにきた時に、聞いたのだった。  お陰で三が日は最悪の気分だった。幼稚園児になり、平仮名が書けるようになったから、おじいちゃんに年賀状を書く、と愛くるしい笑顔で言ってくれた。  ここにも‥‥ 『おじいちゃん、はやくよくなってね』  ユイの真っ白な心からのメッセージだ。  涼造は、他の年賀状の束を湯飲みの横に置くと、しばらくユイからの年賀状を見ていた。
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