魔界の実は煮詰めた柿で代用できる

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「農民もそれに携わる者たちも同様でございます」 「わかった。お前の言うことはわかったが、そうは言っても食べたいものは食べたい。悪智将と謳われたお前ならどうするのだ、グスタンディヌスよ」 「魔界の実に似た食べ物を食べるというのはいかがでしょう?」 「似た食べ物?」 「魔界の実は食感が柿に似ております。柿はこの地で秋頃に収穫される果物でして」 「待て待て。柿とは何か?」 「はい。見た目は魔界でいうところのシャプシャプに似ております。でも味はシャプシャプと違って甘くて歯応えがあります。その柿を煮詰めて味付けをすれば不思議なことに魔界の実そっくりな食べ物になるのです」 「お前、そんなことをできるはずが無かろう。私を欺こうと思ってはいまいな?この私を欺くとどうなるかわかっておるのか?」  ザバジはグスタンディヌスを殺す勢いで睨みつけた。 「滅相もございません。しかし騙されたと思って一つ召し上がってみてはいかがでしょう。早速拙宅へご案内いたします」  ザバジは半ば無理やりグスタンディヌスの家に連れられてきた。古びた外観の割に室内は綺麗に装飾されていて居心地がよさそうに見えた。客間の椅子に座ったザバジにどうぞどうぞと言ってグスタンディヌスは柿を煮詰めてトロトロにした食べ物を差し出した。それをザバジはスプーンで口元に運んでみた。 「こ、こ、これは、あ、魔界の実!うまいぞ」  ザバジは目の前に出された魔界の実もどきに感動した。味や食感は完全に魔界の実だったのだ。 「大魔王様、わかっていただけましたか」 「ちょっと待て。グスタンディヌス、これはいつの間にか本物とすり替えたわけではあるまいな?」 「そんなことはございません」 「では本当に柿という物を調理しただけで魔界の実に酷似したものを作り出したというのか。やりおるな。悪智将の名はまだ廃れておらぬ」 「ありがたきお言葉。しかしここでの生活ではごく当たり前のことなのです。悪の帝国にはあった最高の食材がここには無い。無ければ自分で工夫して作ってみる。この魔界の実の食感と味を見つけるのに試行錯誤し時間と労力を費やしましたが、思い返すとそのこと全てが楽しい時間でした。自分の気持ち次第で時間は無限大なのでございます」  「なるほど。そういう思考か」
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