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いそいそと庭から戻った美代は、台所へ戻る為に晴幸の部屋を通り掛かり、
「もう少し、お静かに──外まで聞こえてございます」
足を止めて、襖の向こうへ冷たく言い放ち、気が済んだように吐息すると、足音高らかに通り過ぎて行った。
この時降り始めた雪は、夜通し降り続け、翌朝には辺り一面を銀世界に変えた。陽も随分と高く昇ってから、朝食に現れた雷斗と晴幸は、降り積もった雪をも溶かすお熱い眼差しを絡め、四万城邸の年の瀬は、日頃の穏やかさをすっかり取り戻し、素晴らしきかな新年の足音が、喜びを蹴散らしながら聞こえるようであった。
☃️お わ り☃️
2023年2月8日
©️ikumi narina ♥ voyage
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