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二人がそうして盛んに睦み合っていると、前の廊下を忙しく走った足音が庭に降り立ち、電灯を灯しに出た美代が、隣家の夫人と出会わしたか、挨拶を交わす朗らかな声が、抱き合う二人の耳に響いて来た。
年の瀬に互いを労う内、立ち話の導火線に火を点けたか、二人の女は高らかに笑った後、
「最近、先生の著書には、恋愛に触れるお話も多くて、私なんかはもぅドキドキ、楽しみにしておりますのよ」
言葉を切ると同時に、照れ隠しであるのか『おほほほほ』と笑った隣家の夫人は、意気揚々と、更に言葉を被せようとしたが、長引く立ち話を切り上げさせるように、空から白い物が舞い降りて来た。気付いた二人が『良いお年を』などと、この時期お決まりの別れを告げ、会話はそこで途切れた。
「……だから、晴幸は嫌なのでございますぅ──」
絶頂の叫びに乗せ喚いた晴幸を、確と抱き締めた雷斗は、法悦を放ちながら、
「私が真に愛しく想うは、晴幸、お前だけだッ──」
喜悦の呻き声に乗せて、辺り憚らずと叫んだ。応えた晴幸も、忙しい喘ぎの合間に同意を叫び、雷斗の引き締まった腹に、自身を擦り着けながら悦びを放った。
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