私は、あなたの味方です。

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付き合うって言ったのはお前からだろうが、クズめ……。 あ、ゴメンナサイ。つい、うっかり取り乱してしまいました。続きを話しますね。メールではご丁寧に、2人が会う時間まで会話されていて……。 まず、私は、雪乃の家に向かいました。午後10時頃です。雪乃の家は、純恋も知っているはずだけど……一軒家。そこに侵入するなんて、正直不可能だと考えていました。 けれど、有り難い事にドアが「ガチャリ」と音を立てました。セキュリティはちゃんとしないと……ですね。それから、音を立てないようにそろり、そろりと玄関からリビングへ向かいました。 その時は緊張のあまり心臓のバクバクという音しか聞こえませんでした。動きも、時間もゆっくり長く感じました。それはまるで、世界の全てがスローモーションになったようでした。 ……そして、リビングには、こちらを凝視してフリーズした雪乃が居ました。左手に持っていた、白いマグカップがスルリ、と。手から滑り落ち、ガシャン、と派手に砕け散りました。 ホットミルクが好きだったから……それを飲んでいたのでしょう。白い液体が、ポタポタと小さな池を作っていました。私は、それを見入りながら思いました。 雪乃達に似合うのは、もう少し違う色の液体では? と。 そこからは、スローモーションの世界から一変。全てが一瞬の世界でした。元々右手に握り締めていたナイフを、雪乃の胸に……えいっ……ってね。 純恋がプレゼントしてくれたナイフ、切れ味バッチリでした! 宣伝文句で「この包丁ならスイスイ切れちゃう!」とCMで流れていましたが……嘘ではなく、真実だったようです! 液体が、部屋を染めました。包丁も液体で染まっていました。部屋の何もかもが、その液体の色と化しました。ただし、もうホットミルクの色なんて見当たりませんでした。部屋に、静けさも染み渡りました。 静けさの中、包丁から液体がポタリポタリと零れ落ち、雪乃の眼に染み渡りました。雪乃は目をかっ、と見開いた状態で眠っていました。が、液体の所為(せい)で、眼が充血したような状態でした。 勿論、「約束の時間」になったら女も来たので、リビングで……ね。その瞬間だけ、「静けさの中」とは真反対の空間でした。 そうそう。死体は、私達(・・)の家に移動させましたよ。実は、自動車も用意しておいたの! 用意周到。これ大事です! 女の方は処理済み。雪乃に関しては、クローゼットを探してください。 今までの日記に比べての長文、失礼しました。 ……最後にもう一回だけ聞きます。純恋は、私の味方でいてくださいね? え、私はどうなのか、って? 私は、あなたの味方です。
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