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交際
のっけはそんな感じだった二人だが、交際が始まって滝香の緊張が解けると、わりとフツーのカップルになった。
「もー! ぜったい絶対許さない!
記念日忘れるなんてありえない!!」
「わるかったって。
甘栗買ってやるから、許してよ。」
「え、本当に?
やだぁ、まるでねだったみたいー。」
フツーだったが、丸めこみが簡単すぎるのは、フツーではなかったかも知れない。
猫に鰹節、滝香に甘栗だった。
あ、ちなみに彼の名字の読みは『よつまた』だが、彼も滝香がはじめての彼女だった。色気づき始めた頃からさんざん「四ツ股」とからかわれてきたため、それに反抗して硬派を通してきたのだ。
今は、そんな過去に感謝していた。
寂しさに耐えた日々に、感謝できるようになった。
滝香のおかげだと、以前滝香に話したら、滝香は目を潤ませて言った。
「大変だったね。
私、喜んでいいのかな。」
「いいんだよ。
僕が良かったって、心の底から思ってるんだから。」
二人がはじめて結ばれた日のことだ。
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