甘栗色しあわせ色

結婚生活

「ええー、目玉焼きは半熟じゃなきゃヤダー！」

「はいはい、やっぱりか。
　焼き直しますよ。
　くまのこウーフおそるべしだね、もおー。」

「えへへー。
　お母さんやさしい♪」

「谷香(たにか)、そう思うんなら、お小遣いでお母さんに甘栗を買ってあげなさい。」

　新聞から顔を上げてレオが言うと、滝香がフライパンの卵を見ながら言った。

「やだぁ。あなたったら、嬉しいこと言わないでよ。」

「谷香の分も買っていいなら、買うー。」
「あら、本当に？
　じゃあ、谷香の分はお父さんの奢りね。」
「やばい、そうきたか。
　二人とも抜け目がないなあ。」

　幸せだった。