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「結局、こうなってしまったのね……」
ぼそりとミカエルが呟く。
腕の中で、コレットは物言いたげに彼女を見つめる。
「打つ手がないわけじゃないわ。呪いは解かれていないから」
メフィストフェレスは美幸から呪いを奪い飲み込んだ。
しかし、呪い自体は消えていない。
「完全に手遅れになる前に呪いを解いてしまえばいい。メフィストフェレスとの契約をなかったことにできるから」
言うのは簡単だが、呪いを解くのはかなり困難と言える。
しかし、ミカエルは覚悟を決めていた。
「問題は、私が呪いを解く間にメフィストフェレスが彼女を葬るかもしれないってこと」
「きゅ、きゅきゅ!!」
「ええ、彼女を救うことが彼との契約だったけど、一度救った後に排除するってことは悪魔だったらやりかねないもの」
「きゅー」
ミカエルの腕の中でコレットは不服そうに鳴く。
「だから、コレット。あなたが守ってあげるのよ」
「きゅ?」
「うさぎの姿じゃ不便だから、ヒトの姿を模ってあげる。イメージして……あなたが人間になった姿を!」
言われた通り、コレットは目を閉じてヒトの姿をイメージする。
ルシフェルのような白銀の髪と紫水晶の瞳、うさぎの耳のように大きなリボン――一瞬にして、想像した姿へと変わっていった。
「うわぁ、すごい!」
ミカエルより頭一つ分ほど小さい姿のコレットは、空中でピョンピョンと跳ねて見せる。
「ヒトの姿になった以上、行動には気をつけて」
「はい、ミカエルさま!」
コレットが答えると、頭の上で結ばれたリボンがピョコピョコと動いた。
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