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「ラフィー、気持ちはわかるけど、憤怒に囚われてはダメよ」
「ええ、わかっているわ」
ラファエルが頷き、ミカエルを見据える。
「それで、私は何をすればいい?」
「呪いをかけた二人を探そうと思うの。想いが消えていなければ、浄化も必要になるからラフィーに頼みたい」
呪いは一度発動したら簡単に解くことが出来ない。
呪いをかけた本人が亡くなろうと、憎しみや恨みの気持ちが消えようと残り続ける。
「手分けして探すのね」
「ええ」
「それなら、私は想いの強そうな女性の方を当たるわ」
ラファエルは深幸に想いを寄せ、美幸を妬み恨んで呪った女性を探すという。
彼女の強い想いが美幸を死に等しい眠りへと誘った。
「それと、もう一つ」
ミカエルには気になっていることがある。
「本来なら、このレベルの呪いとなると対象者は死へ至るはず。でも、美幸という女性は醒めない眠りの中にいた」
「……メフィストフェレスの仕業じゃ?」
ラファエルの考えを聞いたミカエルは首を振って否定した。
「あいつなら、もうすぐ大切な人が死ぬという所で時間を止めて契約させる。その方が確実に契約できるから」
「それもそうね……」
より確実に深幸との契約を望むなら、死という絶望を突きつけていたはずだ。
一年も醒めぬ眠りにつかせて、契約を迫る悪魔はそういない。
「怠惰のベルフェゴールならわかるけど、メフィストフェレスは一年も待たないわ。精々、ひと月が限界でしょうね」
七つの大罪である怠惰を司る悪魔、ベルフェゴールの名前がラファエルの口から出る。
大抵の悪魔は絶望的状況を作り、究極の二択を迫るのだ。
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