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「可愛いって言うと怒られるから『構いたい』って言ってたことあるけど、あれ、今思うと案外真理かもしれないと思う。側にいると......いや、離れててもだな。俺、いつだって楓に触れてたいって思ってる。楓、俺……、くそ」
ぐっと体を引き寄せられる。耳の直ぐ側に、顔が押し付けられた。
「楓を安心させられるような言葉、うまく見つけられなくてごめん。だから——」
ふわっと体が傾く感覚と共に、天井が廉の背景になる。背中がベッドについてから数秒遅れて、自分が押し倒されたのだと分かった。
「ぁ、——ん、っ!」
唇を吸われ、そのあわいを割るように熱い舌が差し込まれる。驚いて縮こまっているのを捉えられ、何度も絡め、擦り合わされた。
(……食べられてる)
頭の芯がぼうっとなってしまうような情熱的なキスに、身体が熱くなる。
胸が苦しくなって喉を鳴らすと、やっと口付けが解かれた。濡れた唇をちらっと舌で舐めながら、廉が熱い息を溢す。
「楓のこと怖がらせたくなくて我慢してたけど、俺、めちゃくちゃ楓のこと欲しいよ」
「……え」
「楓と種類は違うけど、俺も心配してた。『可愛い』ばっか言ってると嫌われちゃうかなとか、同じ男からこういうことされるの、嫌に思わないかなとか。でも、本当はいつも、もっと——」
再び廉の顔が近付いて、ちゅっ、と音を立てながら唇を吸われる。
「楓にキスするだけじゃなくて、……色んなことしたいって思ってた」
見下ろされる熱っぽい視線にごくりと喉が鳴る。
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