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「でも、そう思われないように努力する。だから」
思わず廉の顔を上目に見ると、雪の光に照らされた微笑みに出会った。
「俺のこと、ずっと好きでいて」
(ああ……)
胸に想いが溢れて、言葉にならない。ただ、直感的に「自分には、この人だ」という強い思いが閃いた。
「俺の初恋は楓だけどさ、でも、二番目なんてある気しないんだ。もし次があったとしても、それはその時の楓だと思う」
「どういうこと……」
「惚れ直すってこと」
「う」
ただひたすら面映い。
「人を好きになるって、凄いな。なんか、自分の感情が前より凄く豊かになった感じがする。夏に書いてた小説も、楓がいなかったら書けてなかった」
「それって——」
「うん。恋愛小説になってるって、自分でも分からないうちに書いてたってアレ。……実はさ、新人賞の最終選考残ったって連絡来たんだ」
「えっ」
驚いて、がばっと起き上がる。
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