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「先生や看護師さん、技師さんたちは命を守る一線にいる。リハビリ担当のスタッフや介護士さんたちは、きちんとした知識を持って患者さんを支えてケアすることができるよね」
「そうですね。うちも訪問看護で看護師さんに来てもらって、すごく助けてもらいました」
訪問看護に来てくれた看護師さんはベテランで、祖母のケアだけでなく主に介護を担っていた美穂の愚痴も聞いてくれていた。当事者のケアだけでなく、家族のケアもしてくれて青田家にとっては心強い味方だった。
「でしょ? それに比べ、私はただの事務職だからさ」
由梨の声のトーンが落ちたことに気づき由梨を見れば、顔に影が差している。視線も足元に落ちていて、気落ちしているようだ。
こんな由梨を見るのは初めてだ。残業後でも疲れたとは言わずに「おなか空いたー」とやってくる。ひよりは由梨との付き合いがまだ浅いが、今までネガティブな由梨は見たことがなかった。
「由梨さん?」
由梨の様子がいつもと違うことを訝しんだひよりが声をかけると、由梨は我に返ったようですぐにいつもの元気な由梨の顔を見せる。
「いやー、こう暑いと頭がぼーっとしちゃうよね。仕事に戻る前に、コンビニでアイス買って食べちゃお」
「いいですね」
食後のアイスは何を食べようかと話す由梨はいつもと変わらない。ひよりが一瞬見た由梨の姿は、夏の暑さが見せた陽炎だったのかもしれない。
「その前にごはんだけど、ひよりちゃんのオススメは?」
「そうですね……期間限定で大葉のおむすびを始めたんですけど、由梨さんはもう食べました?」
「まだ食べてないよ。しかも期間限定?」
「とりあえず今月いっぱいの予定で、大葉のおむすびを二種類。刻んだ大葉と生姜、白ごまを入れたものと味噌だれを塗ったおむすびを大葉で包んだものです」
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