156人が本棚に入れています
本棚に追加
──以上が、今朝の登校時の出来事だ。
あれから5時間、さすがの俺もうっすらと現状を把握しつつある。
まず、ここは俺が知っているようで知らない世界だということ。
目の色が「緑」なのは、ここでは「当たり前」だということ。
青野行春は、妹のナナセではなく「俺」の彼氏らしいということ。しかも──
(まさかの肉体関係有り)
怖い怖い怖い。なんでそんなことになってんだよ。
たしかに俺、外見はチャラそうだけどさ。
実際は童貞だし。それどころかキスしたこともねーし!
なのに、こっちの世界の俺は経験済み? しかも相手は男? 俺、今まで女子しか好きになったことがねーんだけど。
(なのに抱いたの? 青野を?)
……ダメだ、想像できねぇ。ぜんっぜんムラムラしないし。
しかも、あいつの証言によると、昨日俺は「学校でヤリたい」とリクエストしたらしい。「お付き合い半年記念日」を理由にして。
嘘だろ、こっちの俺、そんな自由奔放な感じなの?
それじゃ、あまりにも外見どおりすぎるだろ!
(いや、待てよ)
たしか青野は「そういうの気乗りしない」って言ってたよな。
その点は俺と同じだ。俺も、学校で事に及ぶなんてまっぴらだ。というか、そもそも青野とそういうことができるとは思えない。
(よし、一度話し合おう)
お互いの利害は一致している。俺が「やめよう」といえば、青野もふたつ返事で了承してくれるはずだ。
最初のコメントを投稿しよう!