第5話

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 金髪ロングたちの()(せい)が、一斉に止んだ。  皆の視線を集めたボブカット女子──由芽ちゃんは、これでもかと目を潤ませると、ゆっくり俺たちを見まわした。 「みんなありがとう、由芽のために怒ってくれて」 「そんなの当然じゃん! 友達が傷つけられたんだから」 「そうだよ、由芽! こんなの当たり前だよ!」 「ありがとう。でも私……青野くんのことはもう諦める」  お、マジか! 「私、青野くんから卒業する!」  う、ううん? 「卒業」? なんで今、そのワード?  同じことを思ったのか、青野も「入学された覚えがないんですけど」とぼそりとこぼす。  けれども、金髪ロングたちの耳には届いていない。「由芽ぇぇ」「本当にそれでいいの?」「マジで? 後悔しない?」なんて大騒ぎだ。  やがて、取り巻きたちを背負う形で、由芽ちゃんが青野の前に立った。 「青野くん、今までありがとう。本当に……本当に大好きでした!」 「……はぁ」  青野、愛想! 気持ちはわかるけど、もうちょっと態度を考えて!  けれども、由芽ちゃんも金髪ロングたちも自分たちの世界にどっぷりらしく、青野の仏頂面に気づかない。くるりときびすを返した由芽ちゃんを、他の女子たちが追いかけた。  あっという間に嵐は去り、気づけば俺と青野だけがその場に取り残されていた。 「なんか……すごい集団だったな」  少女マンガか? 恋愛ドラマか?  いや、前半はヤンキー漫画っぽかったな。金髪ロングたちの詰め方は、どう考えても女子高生のそれじゃない。  ぽかんとしたままの俺の隣で、青野が「うぜぇ」と吐き捨てた。 「ドラマの主人公気取りかよ」  ほんと、それな! ぶっちゃけ、俺も同じようなことを思ってた!  つい笑ってしまった俺を、青野はじろりと睨みつけた。 「いや、笑い事じゃないでしょ、あんた」 「え?」 「どうするんです、あんな嘘ついて」  ──嘘? 俺、なにか言ったっけ? 「言ったでしょう。『俺とよりを戻した』って」 「……あっ!」
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