終章 Good Luck, Have Fun

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 テーブルに置いたスマートフォンを再び手に取ると、ロック画面に通知が表示されていた。  最近ダウンロードしたばかりのゲームアプリの通知だ。  大学受験を境に、パコソンより手軽に楽しめる携帯ゲームに触れることのほうが多くなっていた。といっても、よっぽど興味を惹かれる内容でなければ、前ほどのめり込んだりはしない。電車の移動時間や、寝る前の隙間時間に楽しむ程度だった。  だから、通知を放置することもままある。  今回は、バイト探しに煮詰まっていたので、気晴らしにアプリを開いてみる。 (ん? ちょっと前に一度、協力プレイしたことのあるプレイヤーだ)  フレンド申請が届いている。  名前はよく覚えていなかったが、キャラデザインが特徴的で印象に残っていた。どことなく、既視感を覚えるような見た目でもあった。 (フレンド承認する前に、まずは添付メッセージを確認っと……)  封筒マークをタップする。   《先日は協力プレイありがとうございました。ショウさんとはプレイスタイルが合うと感じ、フレンド申請させていただきました。良かったら承認をお願いします》  丁寧なメッセージだ。  こんなもの《フレンドになってください》の一言でも通じるのに。  続きをスクロールする。 《追伸。M沢公園の桜の根株は撤去され、今はもう新しい樹木が植えられています。気付いていましたか?》  息が止まるかと思った。  このメッセージの送り主は、歩じゃないか。  福島に引っ越したあいつが、こっちに戻ってきている……? いったいどうして、いつから。  もしかして、こっちの大学に進学したのだろうか。  まったく、まわりくどいことをしてくれる。  それならそうと、もっと早くに連絡をくれればよかったのに。  文句を言いたくても、その点についてはお互い様なので、何も言えない。  だから俺は、歩に文句を言う代わりに、狩野へ電話をかけた。 「おい。さっきの旅行の話だけど……もう一名追加してもいいか?」
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