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そうして今、俺はここに立っている。
Y駅西口の女性像前。
人通りが少ない場所で待ち合わせるのは、向こうが不安に思うだろうと配慮し、人が行き交う駅前広場を指定した。目の前に警察署があるのも、いざとなったら駆け込めるので安心材料になる。
俺ってなかなかの紳士じゃないか、なんて自画自賛してしまう。
早く来ないかなぁ、アユミちゃん。
待ち合わせ予定時刻から10分が過ぎていたが、それらしき少女の姿はない。
冬の白くて弱々しい日差しを受け止めながら、俺は少しずつ自信を失ってきた。
もしかして、すっぽかされたんじゃないか。
いやいや、アユミちゃんはそんな子じゃない。
じゃあ、待ち合わせ場所が分からないとか?
でも、本当にこの界隈に住んでいるのであれば、これ以上分かりやすい場所もないはずだ。
(最初から一対一で会おうってのが、まずかったのかなぁ……)
女の子なら警戒して当然だ。
(ていうか、もしかして。どこかで俺の姿を見ていて、自分のタイプじゃなかったから回れ右したんじゃ)
想像すると急に手足が冷たくなってきた。
なんの根拠もないただの妄想であっても、悪いほうへ考え出すと止まらない。
可能性はゼロじゃない。何せ月嶋翔平という人間は、どちらかといえば童顔、背はクラスの中では低い方だし、いじられキャラとしての立場を確立しているのだ。
モテるタイプじゃないのは自覚している。
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