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「にゃああああ!」
「にいにい、にいにいいいい!」
「なあああああああああああああああ!」
「にゃっ!?」
「にゃにゃにゃにゃにゃ、にゃあ!」
画面の向こう、猫たちが次々と捕獲され、檻に入れられ、トラックに運び込まれていく。猫たちの共通点は、全員背中に☆マークがあること。その行き先は、特別な施設だ。
彼らはその施設で、片っ端から眠らされて“処分”されることになる。
「ただ一時の安らぎを求めて、一時猫になりたいと思う人ならばいいのです。……ですが、特別休暇を悪用して仕事をサボったり、楽で自由な生活がしたいと人間であることをあっさり捨てるような連中は論外」
黒服の男の見ている前で、灰色の猫と白黒のブチ猫が檻に投げ込まれた。
「この国の勤勉で真面目な人々が楽に生きられるようにするためには、根本的な改革が必要です。すなわち……怠惰で、人に迷惑をかけることも厭わない者達にいなくなってもらうこと」
捕まっているのは、ルールを破って遊園地の外に出たり、あるいは一日を超えても戻らなかった者達。
彼らを見つけるのはカンタンだ。なんせ他の猫とは違う目印があって、GPS機能が搭載されているのだから。
「猫になりたい者ではなく、“猫になって怠惰な生活をしたい”者達を残らず抹殺すること。……これで、少なくとも二億人ほどの人間は“削減”できることでしょう。実際、そんな人に迷惑をかけることを顧みない人間など、いなくなってもほとんどの人が気にも留めないことでしょう」
男は電話の向こうの人間に向かって、楽しげに語りかけたのだった。
「まったく、貴方も悪ですねえ、我が国の大統領様?」
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