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こんな勇者にはなりたくない!
「アガツマさん!僕、アガツマさんのような立派な勇者になりたいです!」
その少年は、宝石のように目をキラキラさせて俺を見た。
この世界を脅かすモンスターたちを退治し、人々の平和を守る戦士のことを人々は勇者と呼ぶ。厳しいギルドの試験を突破した彼らは剣や魔法を駆使して戦い、町にい来る人々を助けてくれる存在だ。
特には国や大企業からも依頼を受け、巨大なドラゴンやオーガの討伐にも赴く。彼のようなティーンエイジャーの少年少女たちからはきっと、自分達は憧れの的なんだろうなと思う。
「少年よ」
だから、俺は。少年の前にしゃがみ、その両肩に手を置いて優しく語りかけたのだった。
「勇者になりたいなら、まずするべきことがある。何なのかわかるか?」
「えっと、魔法を覚えること?」
「違う」
俺はにっこり笑って、言った。
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