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三人の繋がり
透くんは、中学の時に酷い虐めを受けた。そのことが原因で不登校になり、ずっと家に引き籠っていた。最近になって、ようやく外出できるぐらいまで回復してきたのだが、まだ、学校に通ったり、アルバイトをしたりということは難しいそうだ。
「あいつら、いつか殺す」
琴子さんは、本当にやりかねないので、僕は少し怖かった。
透くんは、今、家で大好きな小説を書いて過ごしている。琴子さんの夢は、いつか透くんの書いた脚本を、自分が演じることだと言っていた。そんな日が早く来るといいな、と僕も思う。
その日、僕は透くんの家で夕飯を頂いた後、透くんにアパートまで車で送ってもらった。
「今日の一日、この前の琴子と全く同じコース」
そう言って透くんが笑った。
「嘘!」
そう言って僕も一緒に笑った。
何だか三人が一つに繋がっているような気がして、とても幸せな気持ちになった。
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