根なし草のカデンツァ

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「……そうさな」  淡い笑みを口許から揉み消して、エイズワースはキャスケットを被り直す。  そうして雑誌記者とその助手は、どちらともなく歩き出す。今日の寝床へ。仮の宿へ。  その乾いた足音に、パチパチと野焼きの音が重なった。
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