恋愛遍歴

1/5
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ

恋愛遍歴

 友人のくるみに「六花(りっか)は飽きっぽい」と言われた。 「だって、今回の彼は三日もたなかったじゃん」 「柔軟剤のにおいが合わなかったんだもん。めっちゃきつくて」 「においが嫌だから柔軟剤変えてって言えばいいじゃん」  くるみが隣でため息をつく。   「だって、遥斗(はると)実家暮らしなのに、柔軟剤変えてって言ったら、遥斗のお母さんが私に合わせないといけなくなるじゃん」 「そう……かもだけどぉ」 「そこまで背負わせられなくない?」 「まぁ……」  私も柔軟剤は使うけど、あのどぎついにおいは無理だ。遥斗が通ったあとが分かるくらいの残り香。あのにおい好きじゃない。 「我慢してまで付き合う意味ってなくない?」  私は自分を殺してまで、相手に合わせたくはない。それは相手に対しても同じ。我慢してまで付き合ってもらっても、きっとどこかで無理が生じる。 「遥斗くんの前は?」 「理玖(りく)? あぁ、あいつ最低。近くが空いていないからって、障がい者用の駐車場に車停めたんだよ。ありえないでしょ」 「停めたらダメだよって言えばいいじゃん」  私は露骨に嫌な顔をした。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!