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恋愛遍歴
友人のくるみに「六花は飽きっぽい」と言われた。
「だって、今回の彼は三日もたなかったじゃん」
「柔軟剤のにおいが合わなかったんだもん。めっちゃきつくて」
「においが嫌だから柔軟剤変えてって言えばいいじゃん」
くるみが隣でため息をつく。
「だって、遥斗実家暮らしなのに、柔軟剤変えてって言ったら、遥斗のお母さんが私に合わせないといけなくなるじゃん」
「そう……かもだけどぉ」
「そこまで背負わせられなくない?」
「まぁ……」
私も柔軟剤は使うけど、あのどぎついにおいは無理だ。遥斗が通ったあとが分かるくらいの残り香。あのにおい好きじゃない。
「我慢してまで付き合う意味ってなくない?」
私は自分を殺してまで、相手に合わせたくはない。それは相手に対しても同じ。我慢してまで付き合ってもらっても、きっとどこかで無理が生じる。
「遥斗くんの前は?」
「理玖? あぁ、あいつ最低。近くが空いていないからって、障がい者用の駐車場に車停めたんだよ。ありえないでしょ」
「停めたらダメだよって言えばいいじゃん」
私は露骨に嫌な顔をした。
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