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「えっ!?」
家の端で見ていたミユキは、ドーム型の空間が突然、光を放ったことに驚いていた。
(メリッサさん…!)
ミユキは急いで走って近づいた。
すると、徐々に光が弱くなり、メリッサと、体をうつ伏せにしている男が見えてきた。
「決着ね」
メリッサは姿を確認すると、ドーム型の空間を解除した。
「メリッサさんっ!」
「ミユキ?どうしたの?」
「と、突然光がでて!め、メリッサ、さん、だ、大丈夫かと…!」
「私は大丈夫よ、それよりも…」
メリッサはうつ伏せになっている男のそばに行き、しゃがんだ。
「・・・ 起きてる?」
「あぁ」
「そう。じゃあ約束通り記憶を奪っていくわね」
「少しだけ話してもいいか」
男はしゃがんでるメリッサの顔の前に、手のひらを見せた。
「“記憶を奪う”ってできるのか」
「えぇ、教えられたやり方だから基本的にしかできないけど、私の先生だったら部分だけということもできるわ」
「20年分失うのか…ちょうど復讐の計画を立てるときだったか」
「そう… 」
「思い出せば憎しみしかなかったな…
お嬢さんもういい、やってくれ」
メリッサは杖を男の上に置いて唱えた。
「メリッサさん、記憶を消すって…」
「私は彼が提案したことを受けてやっただけよ」
「あの…彼どうするんです?」
メリッサはうつ伏せ状態の男を振り返った。
「聞くの忘れた…」
「えぇ…」
「町に置いてくとはやだしなぁ〜どうしよう…」
2人で困っていると、結界から別の男がやってきた。メリッサは杖を構え警戒体制をとった。
「俺が預かろうか」
「あ…カフェであった冒険者さん」
「よぉ兄ちゃん、会えて嬉しいぜぇ」
メリッサは顔見知りの人物に、警戒を緩ませた。
「俺が預かって、知り合いの教会に預けてくるぜぇ」
「何が目的?」
「…普通に君たちと関わりたいだけ、さっき勝負のことも聞きたいしなぁ」
「みてたの?」
「あんな魔力防御のドーム結界つくっちゃって、魔力控えめの魔法使いな子は気になっちゃうよ」
冒険者は倒れた男を腕を肩に回した。
「2、3日経ったらまた来る。次は魔法のお話聞かせてちょーだい」
男を運びながら冒険者は手を振って、町の方へと向かった。
「メリッサさん…安心していいのでしょうか」
「あの冒険者も気になることだけど、ひとまず安心していいでしょう」
「そういえば、さっき杖出してましたよね、メリッサさん杖使うんですか」
「まぁね、たまに使わないと嫌われちゃうから」
「嫌われる?」
「杖って人を判断する道具なの、魔法使いだと尚更、長い時間一緒に過ごすと、杖と話すことだってできるし」
「そ、そうなんですかー」
「ちょっと信じてないでしょ」
「し、信じてませんね」
「本当のことなんだけどなぁ〜
さて、ミユキは畑と家の掃除をお願い、私は破られちゃった結界直してくる」
「分かりましたメリッサさん」
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