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あれから、メリッサさんの家に住まわせてもらっていた。見たところ、一軒家の木造住宅に似ていた。僕はそこの2階の一部屋を貸してもらい、料理、洗濯、掃除、栽培など色々こなした。たまに暇なときにメリッサさんにこの世界の基本知識と魔法を教えてもらいながら生活していた。
「メリッサさん、聞いてもいいですか?」
「なに?」
「この世界って人間以外もいるんですか?」
「えぇ、私たちの世界は主に2つの種族に分かれてるの、人間と魔族…
人間は、まぁミユキみたいな種族ね、魔族は、人間の真似をしている生き物と言ったらわかるかしら」
「人間の真似?」
「そう。人間と魔族は見た目が違うだけであとはほとんど同じ、こんなんで喧嘩してるの馬鹿みたい」
「へ〜…喧嘩してたんですか?」
「少し前までね、人間と魔族は戦争をしていたから」
「え…」
「どこらか優勢をつけるためだったんでしょうね、結果、魔族の王である“魔王”は倒された。今では“勇者”と呼ばれる人間によってね、それから一部の国で『魔族も人間も平等に生きましょう』って言ってるけど多少の贔屓はある」
「そうなんですか…
あの、メリッサさんって、魔族側なんですか…?」
「・・・ あら、わかるの?」
「魔族について詳しく喋っていたので」
「そうね…私は魔族になるわ、でも人間の血も入ってるから、クォーターみたいなものね」
「じゃあ転生…別の世界のことは?」
「・・・私の先生よ」
「先生?」
「先生は魔族だったけど、人間のことを詳しく話してくれて、別の世界のことも教えてくれた。先生は別の世界で生きていた人間だったと言ってたわ」
(その人も転生したってことか)
「こんな話飽きちゃったね、そろそろ洗濯ものしまいましょうか」
どこかへ向かうメリッサの表情はどこかしら寂しそうだった。
「メリッサさん?」
メリッサとミユキは街で買い物をしている最中、近くの花屋によっていた。
「種ってどういうのがいいんでしょうか」
「うーん、一応これと新しく育てたいのもあるからこれとこれ、買ってきて」
「はーい」
商品の種を持ちミユキに買いに行かせた。
メリッサ達の住んでいる近くの街は、王国を持たない珍しい街であった。そのため、人間や魔族がたくさん住んでおり、皆贔屓することなく住んでいた。
ある程度買い物した二人は休憩がてらカフェに来ていた。
「驚いた?」
「はい、こんな色んな人たち初めて見ました」
「ここは珍しく王家を持たない街だからね」
「王家?」
「人間に選ばれた統治する国の王、魔王を倒すように言った人達ね、下手言うと『一番魔族を怖がっている人』というべきかしら」
「じゃあ魔族さんたちにとってはあまり嫌な感じですね」
「今でも王家の人たちは魔族を倒そうとしてるみたいよ、でも狙ったら狙いかいされると思ってるのかしらね、中々手を出してこないわ」
「そうなんですか」
「ハッハッ!面白いなぁ!姉ちゃん!」
近くで飲んでいた男が二人に話しかけてきた。
「あら、冒険者さんですか?」
「まぁな、今はこの街で休暇中だぁ」
「そうですか。」
「俺はよぉ、王家の兵士だったからよぉ、そういう事情は分かるんだぜぇ、姉ちゃんそういうとこ勘づくなぁ」
(え?勘づく?)
「勘づいたとしてあなたには連れて行くことはないでしょ?王家も一部は解体してるみたいだし」
「…まぁな、別に連れて行くことはしねぇ、でも姉ちゃん気をつけろよ、こういう王家を持たない街はそういうスパイがいっぱいいるからなぁ」
ミユキは全く理解のできない話をみて呆然としていた。
「ご忠告ありがとう。でも大丈夫よ」
「おう。そうか」
「ところで冒険者さん、ここら辺に良い服屋知りません?」
「服屋ってそこの兄ちゃんのか、どんな系のかい?」
「うーんそうね、加護付きはひとつぐらいほしいわ」
「じゃあ路地裏の服屋がいいぜあそこは見た目は悪いが要望はやってくれる」
「そう。教えてくれてありがとう」
「兄ちゃん、この姉ちゃん守ってあげな」
「は、はい」
冒険者にお礼をし、二人はカフェを後にした。
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