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あれから一週間が経った。
ミユキはメリッサが買ってきた種を畑に撒き終えて、教えてもらった魔法を唱えた。
『水よ、大地に含ませてくれ』
唱えると、ミユキの周りの畑に水が含み、またそれをみたミユキはまた唱えた。
『光よ、私の周りを照らしておくれ』
唱えると、ミユキの目の前に光の玉ができ、畑を照らし、植物の目が出てきた。
「ふぅ…こんな感じかな」
魔法を唱えたミユキは少し疲れたのかそのまま座り込んでしまった。
「おうおう、魔法できてるね」
「あ。メリッサさん」
家の裏口から出てきたメリッサがミユキの魔法をみて声をかけてきた。
「ただ、唱えるとき水は半径制限して、光もずっと照らさないこと、魔力の消費が早くなるよ」
「消費が激しいとどうなるんです?」
「魔法勝負するとき魔力不足で負ける」
「そんなことしませんよ」
「必要よ、森で迷ったときとか魔法が使えないと獣に襲われちゃうし、魔力が無くなったら起きれなくなっちゃう」
「この前教えてもらったあれは?」
「あれは、広範囲で確実に当たる魔法だから教えたの。ただし1日一回だけだけどね」
「万が一のときってことですか。でも、普段そんなことないと思いますよ」
「いやいやあり…」
会話の途中でメリッサさんが家の玄関方面を振り返った。
「…破られた」
「え?」
「ミユキは家の中にいて、ちょっと誰かきたみたい」
「あ。はいわかりました。」
ミユキは家の裏口から家の中に入ろうとした。
しかし、少し胸騒ぎがし家の角まで近づいてメリッサが向かった方を見つめた。
「何の様でしょうか?」
メリッサは、結界を破った緑のフードの男に近づいた。
「結界が張っていたからな、破った」
「どうして?」
「結界を作れる奴なんて、魔法の天才か魔族だけだ。」
「じゃあ私は魔法の天才という…」
「嘘つくな、お前は魔族だ」
“魔族”という言葉にメリッサは反応した。
「魔族?何を持ってそんな判断を?」
「あの結界は魔族特有の魔力があったからだ。そしてお前は…!」
「へー…そうなんだ…」
「俺は魔族を滅ぼす。お前たちが人間たちを殺したように!」
「…復讐かよ」
「己のプライドのために様々な人間を犠牲にし、勇者から守られている者たちが…」
「…そういう勝手な被害妄想が人を殺し消えていくのよ」
「おい貴様」
「まぁ、ようはあなたは私を殺したいんだから、ルールを決めて魔法勝負しましょ」
メリッサはそばに落ちてあった枝を拾い、小さなドームをつくり出した。
「このドーム内だったらいくら魔法を放っても大丈夫よ」
「ただで殺されるつもりはないか、まぁいいだろう。ルールは?」
「そうね、体全体が地面についたら決着としましょう。ドームが解除されたら、あなたが勝ったら私を殺す、私が勝ったら…うーん…記憶を奪いましょうか」
「記憶?」
「記憶がなければ復讐という感情も生まれない。そうね、20年分とか?」
「…まぁいいだろう。始めよう」
男は内側のポケットから魔法で使う杖を取り出した。
「少し話しながらやってもいい?どうせ死ぬなら話しておこうと思って」
「なんだ?」
「とある男は女に恋をした。魔族と人間の血が入った女だったが関係なしに愛した。そして結婚し子供が生まれた。男は魔族の長となり、魔族をまとめあげ魔族が安心できる国を目指した」
「は?」
「しかし、愛した女が死んだ。子供はいたが結局、男が愛していたのは女だけだった」
「なんの話だ」
「あなたが私に会いに来たのは、私が魔王の娘だからでしょ」
“魔王”という言葉に反応した男は動きを止めた。
「やはり…」
「…そろそろ、再開しましょう。」
先程拾った枝を、手に掴み、光が出たと思ったら白い杖が出てきた。
男は突然出てきた杖に反応にすぐに構えた。
出てきた杖を片手に持ち、メリッサは唱えた
『力を込め光の放ち、その対価となれ』
唱えると、ドーム内が途端に光だけとなった。
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