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ママもそのブランドの上顧客のひとりだ。
「薫ちゃん、あなた、世界一幸せよ。こんなすてきな男性のお嫁さんになれるなんて」
「じゃあ、ママがなれば」
わたしはにこりともせず、そう言ってやった。
「ウフフ、できればそうしたいけど」
何言ってんだか。
頬を赤らめているママに、別の意味でため息を吐くと、今度はパパが余計なことを言いだした。
「おい、ベルナルドさんと結婚したら、おまえ、パリに住めるんだぞ」
もう、パパ、余計なこと言わないでよ!
「薫さん、パリに住みたい理由があるのですか」
ほらー。
ベルナルドさんがすかさずわたしに訊く。
もう、スルーしてくれていいのに。
目を上げて彼を見ると、問いかけるように少し眉を寄せ、小首を傾げている。
うわっ。
そんな表情すると、麗しさが倍増。
もし、ここにイケメン好きの親友、楓がいたら、「尊すぎるっ」とか言って、シャッター押しまくりそう。
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