1・百年目の約束

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 それにしても……  美形というのは、なんでこう一種独特な威圧感があるんだろう。  こっちが勝手に引け目を感じて、気圧(けお)されてしまうからなのかもしれないけど。  これほどのイケメンの真正面に座って、長時間見つめ合うなんて生まれてはじめての経験で、さっきからドギマギが収まらない。  あたり前だけど、相手が平然とした顔してるのも、なんだか悔しい。 「短大を卒業したあと、パリで調香師の勉強をしたいんです」  しぶしぶ、わたしはそう答えた。 「調香師ね。ああ、だから……」  彼は口の端を少し上げてわたしを見た。  さっき、思わず彼の上着の匂いを嗅いでしまったときの羞恥心がブワっと蘇ってきた。  もう我ながら、なんであんな恥ずかしいことしちゃったんだろう。  香水のこととなると見境を無くしちゃう癖、なんとかしなくちゃ。   「両親には反対されてますけどね」
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