1・百年目の約束

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「そりゃあ、薫ちゃんをひとりでそんな遠くまで行かせられないわよ」とママがパパのほうを見る。 「でも、こんな立派な旦那さんと一緒っていうことなら、話は別だわ、ねえ、あなた」  いや、わたしはイヤだから。  ひとりで気ままに留学生活を送りたいの。  旦那持ちなんて、想定外。  それにパリ行きには、もうひとつの目的がある。  パパやママには明かしていない、秘めたる野望が。  そのためにも、結婚なんて、絶対無理。  その夢とは……  金髪碧眼の男性と、運命の恋に堕ちるというもの。  それもずっと憧れつづけてきた、わたしの夢だ。  しかも、この人。  32歳ってことは、わたしより一回りも上!  一緒にいても、話合わないじゃん、絶対。  そんなこんなで、わたしはずっとしかめ面。  一方の彼は余裕しゃくしゃくの笑みを浮かべている。  やっぱり、なんかムカつく。  
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