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「そりゃあ、薫ちゃんをひとりでそんな遠くまで行かせられないわよ」とママがパパのほうを見る。
「でも、こんな立派な旦那さんと一緒っていうことなら、話は別だわ、ねえ、あなた」
いや、わたしはイヤだから。
ひとりで気ままに留学生活を送りたいの。
旦那持ちなんて、想定外。
それにパリ行きには、もうひとつの目的がある。
パパやママには明かしていない、秘めたる野望が。
そのためにも、結婚なんて、絶対無理。
その夢とは……
金髪碧眼の男性と、運命の恋に堕ちるというもの。
それもずっと憧れつづけてきた、わたしの夢だ。
しかも、この人。
32歳ってことは、わたしより一回りも上!
一緒にいても、話合わないじゃん、絶対。
そんなこんなで、わたしはずっとしかめ面。
一方の彼は余裕しゃくしゃくの笑みを浮かべている。
やっぱり、なんかムカつく。
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