1・百年目の約束

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 卒業後、ふたりはピエールの母国フランスで事業を起こし大成功を収めたのだけど、第二次世界大戦が勃発し、勲は日本に帰国せざるをえなくなり……  そのとき、ふたりは約束を交わしたそうだ。  今から百年経ったのち。  もし二人の子孫が妙齢の男女なら、そのときは結婚させることにしようと…… 「ホント、なんてロマンチックなお話なんでしょう。薫ちゃんに白馬の王子様がフランスからやってくるなんて」  わたしの横で、ママがうっとり顔でため息をついている。  いやいや、ジョーダンじゃないって。  そんな古臭い約束事で結婚相手を決められちゃうなんて!  わたしにとれば、恐怖の呪い以外の何物でもない。    あっ、でも、この人が結婚相手として不足があるわけじゃない。  というか、あまりにも凄すぎて、どう考えてもわたしじゃ釣り合わない。  なにしろ、世界トップクラス企業のエグゼクティブ。  英、仏、スペイン語、中国語、日本語の5ヶ国語を自在に操るらしい。  さらに、会長である父親のジャンは、会社を一躍トップに育てあげた超やり手。  現在、世界の長者番付で、5本の指に入る資産家だ。
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