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「そんなに私のことが気に入らないのか? ここに皺が寄ってる」
そう言って、空いている方の手で、自分の眉間を指さした。
つられて目に入ってきた薄緑色の瞳は、自然光の下では、いっそう輝きを増して魅惑的。
こんな美しい澄んだ目をしてるのに。
尊大で威圧的すぎなんだってば、その眼差しが。
「は、離して」
わたしはぶんぶんと左右に頭をふって、彼の手から逃れた。
彼はふっと表情を緩めると、橋の欄干に手をかけ、池を見下ろした。
色とりどりの鯉が、水面近くを滑るように泳いでいる。
「変わってるな。女性はだいたい目の色変えるぞ。私を前にすると」
はっ!
なんて自信過剰。
でも、そうとも言えないか。
玉の輿の相手として、これほどの男はいない。
一生ではとても使いきれないほどの財産があって。
美しいけれど線の細さを感じさせない男性的な容姿と、鍛え抜かれた堂々とした体躯の持ち主で。
本当に、三拍子、四拍子そろった、完璧イケメンだもんな。
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