2・パリに来てくれ?

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 「そんなに私のことが気に入らないのか? ここに(しわ)が寄ってる」  そう言って、空いている方の手で、自分の眉間を指さした。  つられて目に入ってきた薄緑色の瞳は、自然光の下では、いっそう輝きを増して魅惑的。  こんな美しい澄んだ目をしてるのに。  尊大で威圧的すぎなんだってば、その眼差しが。   「は、離して」  わたしはぶんぶんと左右に頭をふって、彼の手から逃れた。  彼はふっと表情を緩めると、橋の欄干に手をかけ、池を見下ろした。  色とりどりの鯉が、水面近くを滑るように泳いでいる。 「変わってるな。女性はだいたい目の色変えるぞ。私を前にすると」  はっ!   なんて自信過剰。  でも、そうとも言えないか。  玉の輿の相手として、これほどの男はいない。  一生ではとても使いきれないほどの財産があって。  美しいけれど線の細さを感じさせない男性的な容姿と、鍛え抜かれた堂々とした体躯の持ち主で。  本当に、三拍子、四拍子そろった、完璧イケメンだもんな。
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