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「ち、ちょっと、めまいが……」
いや、めまいだけじゃない。
動悸、息切れ、吐き気、頭痛、腹痛がいっきに襲ってきた感じ。
深呼吸しようにも、帯がキツくてうまくできないし……
それでもなんとか気力を振り絞って、わたしは強い口調で言いかえした。
「でも! そう言われても、イヤなものはイヤです! あなたとの結婚なんて、ぜーったいしません。借金背負ったのは父親の責任でしょ! なんでわたしが犠牲にならなきゃなんないんですか!」
興奮しすぎて、鼻息が荒くなっていたかもしれない。
はあはあと肩で息をして、欄干を握りしめた。
そんなわたしの態度に、彼はますます目を輝かせた。
振り向くと自分の顎を撫でて笑みを浮かべている。
そして、なんだか聞き捨てならないことをのたまった。
「ますます面白くなってきた。そこまできっぱり拒絶されると、私としては逆に征服欲をそそられるんだが」
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