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「すまん、すまん。からかい過ぎたな。薫の反応が面白くてね、つい。悪かったよ」
そう言って、頭を下げた。
えっとー……
なんか、拍子抜けしちゃう。
そんなに素直に謝られたら。
自分からは絶対謝らないタイプの人かと思ったのに。
それに、わたしを見る目つきも変わっている。
さっきまでの尊大さは息を潜めて、なぜかとても優しくなってるんですけど……
「やはり薫は、わたしの従妹によく似ている」
「従妹?」
「ああ。彼女も喜怒哀楽が激しくて、自分の思うままに行動する子でね。小さいころ、いつもヒヤヒヤさせられていたよ」
「その方、今は?」
「残念ながらもうこの世にはいない。事故だった」
「そう……なんですか」
いや、急にそんなこと言われても、どう返したらいいのか……
彼は真剣な表情になって、わたしにまっすぐ視線を向けた。
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