1・百年目の約束

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 中学からの女子校育ち+門限7時半という、前時代的な育てられ方をしてきたせいで、これまで男の子と付き合ったことはたったの一度もない。  短大出たら、いよいよ運命の人に出会えるんじゃないかって、期待に胸を膨らませていたのに……  だから見合いなんて、絶対イヤ!  財布は持ってきてないけど、タクシーで帰ってお手伝いさんに払ってもらえばいいや。  そう思って、長い袖をブンブンと振りながら、一目散に出口を目指していたら……   「おっと」  こっちに向かって歩いてきた人に思い切りぶつかってしまった。  どすん。  わ、倒れる……  あれ?  しっかり抱きとめられている。  すごいな、この人。  ものすごい勢いでぶつかったのに、びくともしないなんて。   「す、すみません」 「いや、こちらこそ。お怪我はありませんでしたか」    わっ、イケボ!  それも色気だだ漏れ系の渋い低音。
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