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「うーん」
「薫の夢をサポートしてみたくなったんだよ。見知らぬ男のコロンの匂いを嗅いでしまうほどの情熱をみすみす無駄にするのも惜しいと思ってね」
彼はいたずらっぽく目を輝かせた。
夢のサポート……つまり金持ちの道楽ってことかな?
「それは……願ってもないことですけど……」
「ああ、ただパリは東京と比べものにならないほど、住宅事情が厳しいんでね。向こうでは私のアパルトマンに一緒に住んでもらうことになるが」
留学費用か。
たしかに……そうだよなあ。
よく考えれば、現実は厳しい。
パリまでの旅費と学費はもともと、わたし名義の株式を売却して賄おうとは思っていたけれど、それ以外にかかる滞在費にはとても足りない。
実を言えば、行ってしまえばこっちのもの、と残りは親の援助をあてにしていた。
でも、それは無理になったってことだ……
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