2・パリに来てくれ?

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 借金抱えてるんじゃあ、頼りにできないってことだから。  あっ、でも、うちに本当に借金があるのか、一応確かめないと。 「返事、今すぐじゃなくてもいいですか?」  わたしの表情に気持ちの変化を読み取ったらしく、彼は穏やかな顔で頷いた。 「ああ、かまわない。そうだな。返答のデッドラインは来週の水曜の17時。それでいいか?」 「はい」    彼は胸ポケットから名刺を差しだした。 「名前を言ってくれればすぐに繋ぐように、会社の者に言っておくから」 「わかりました……」 「よし、じゃあ、今日のところは、話はここまでだ」  彼は、(てら)いのない笑みを浮かべ、右手を差し伸ばした。  わたしは、少し躊躇(ためら)いながらも、その手を握った。  大きくて暖かかった。
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