3・パリに行きます!

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 そう言って、パパはわざとらしく仏壇の間のほうを向いて手を合わせた。  そこに、枝豆を手にしたママもやってきた。 「そうですよ。パパもママも薫ちゃんの幸せを願って、このお話をお受けすることに決めたのよ。お相手がよぼよぼのおじいさんとかだったら、もちろんお断りしたでしょうけど、あんな素敵な方ですもの。あなたが嫌がるなんて思ってもみなかったわよ」  パパはテーブルにコップを置くと、わたしに頭を下げた。 「薫、頼むよ。もう銀行には支払いのあてができたって言ってしまったし。ベルナルド家からの融資がないと、この家も売るはめになるんだよ。薫が彼と結婚するしか、うちが安泰で暮らせる道はないんだよ」 「そんなこと、言われても……」  なんだかんだ言って、結局、お金が大事なんじゃない。  これ以上、このふたりに何も言っても無駄そうなので、わたしは部屋にこもって考えることにした。
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