ルイ•サイドⅠ

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 いや……違うか。  薫に興味を覚えたのは、その姿を一目見た瞬間。  軽やかに宙を飛びまわる蝶のように、着物の袖を翻していて駆けていく姿を見たときだ。    結いあげられた黒髪が乱れるのもかまわず、大きな黒い瞳を輝かせているこの蝶を、わたしの手のなかで遊ばせてみたいと。  ふと、そんなことを思ってしまったからだ。
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